バンドの真価と圧倒的クオリティが凝縮された3rdアルバム
2020年1月29日にリリースされたLOVEBITESの3rdフルアルバム『ELECTRIC PENTAGRAM』は、彼女たちが誇る圧倒的な演奏技術、洗練されたソングライティング、そして正統派ヘヴィメタルへの深い愛情が最高峰の次元で結実した大傑作だ。タイトルの『ELECTRIC PENTAGRAM』は「5人のメンバー(五角形)を結ぶ電撃的な絆と結束」を象徴しており、バンドとしての揺るぎない一体感が全編にみなぎっている。
1st『AWAKENING FROM ABYSS』での衝撃的なデビュー、2nd『CLOCKWORK IMMORTALITY』での世界的評価の獲得を経てリリースされた本作は、疾走感あふれるメロディック・スピード・メタルから、重厚なスラッシュ・リフ、ドラマチックなシンフォニック・パワー・メタル、さらには硬派なハードロックに至るまで、メタル・サウンズの魅力を全方位的に網羅した。サウンド・プロダクションには引き続きフィンランドのフィンヴォックス・スタジオ(ミッコ・カルミラ、ミカ・ユッシラ)を起用し、各楽器の音圧と分離感が極限まで高められている。
公式の曲順および作詞・作曲クレジットに基づき、全12曲・70分を超える怒涛のトラック群を1曲ずつ詳細に紐解いていく。
Thunder Vengeance
作詞:miho / 作曲:miho, Mao / 編曲:Mao, LOVEBITES
アルバムの開幕を告げる「Thunder Vengeance」は、雷鳴のごときインパクトを与える極上のスラッシュ/スピード・メタル・ナンバーだ。作詞をmiho、作曲をmihoとMaoが手掛けた。
冒頭の苛烈なギターリフとharunaの強靭なツーバス連打が鳴り響いた瞬間、アルバム全体の爆発的なアグレッシブさが示される。疾走感の中にも流麗な哀愁のメロディが息づいており、asamiのハイトーン・ヴォイスが雷撃のように突き刺さる。
midoriとMiyakoによるネオ・クラシカルな要素を孕んだ激しいギターソロの応酬は壮絶を極め、オープニング・トラックとして完璧なカタルシスをもたらす。
Holy War
作詞:LOVEBITES / 作曲:Mao / 編曲:Mao, LOVEBITES
2曲目の「Holy War」は、美しくも荘厳なシンフォニック・パワー・メタルの名曲だ。作詞はバンド名義(LOVEBITES)、作曲はMaoが担当した。
クラシカルな旋律美と重厚なオーケストレーションが融合し、気高き闘志を歌い上げる。サビで一気にスケール感が広がる展開は圧巻で、asamiの伸びやかで神聖な歌声が聴く者の心を強く揺さぶる。
ツインギターが織りなすハーモニーの美しさは勿論のこと、劇的なテンポチェンジと叙情的な旋律が組み合わさった構成美は、LOVEBITESの真骨頂と言える。
Golden Destination
作詞:miho / 作曲:miho, Mao / 編曲:Mao, LOVEBITES
3曲目の「Golden Destination」は、正統派ブリティッシュ・ヘヴィメタルの系譜を継承する流麗な疾走ナンバーで、後にEPのタイトル曲としてもシングルカットされた。作詞をmiho、作曲をmihoとMaoが手掛けた。
アイアン・メイデンを彷彿とさせるキャッチーなギャロップ・リズムと、耳に残るツインギターのリードフレーズが最高に心地よい。輝かしい未来へと突き進む意志を描いた歌詞と、多幸感あふれる旋律が見事に合致している。
mihoのタイトなベースアプローチとharunaの軽快なドラミングがリズムの軸を構築し、ライブでもフロア全体が一体となって盛り上がるアンセムだ。
Raise Some Hell
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:Miyako, LOVEBITES
4曲目の「Raise Some Hell」は、キャッチーかつワイルドなノリで魅せるハードロック/グルーヴ・メタル・チューンだ。作詞をasami、作曲をMiyakoが担当。
ザクザクとしたリフアプローチとノリの良さが際立ち、アルバムの中に心地よいグルーヴのアクセントを生み出している。asamiのボーカルもブルージーかつソウルフルなニュアンスを強め、バンドの表現力の幅広さを見せつける。
観客とのシンガロングを意識したサビのキャッチーさと、ライブ感あふれるツインギターの掛け合いが光る佳曲である。
Today Is The Day
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:Miyako, LOVEBITES
5曲目の「Today Is The Day」は、キャッチーなメロディとテクニカルなアンサンブルが同居するメロディック・パワー・メタル。作詞をasami、作曲をMiyakoが手掛けた。
前目へ前目へと疾走するリズムラインに乗せて、胸を打つエモーショナルなフレーズが畳みかけられる。決意に満ちた歌詞世界をasamiが力強く凛とした歌声で描き出していく。
テクニカルでありながら耳なじみの良いギターリフと、要所で挿入されるドラマチックな転調が見事で、アルバム前半のハイライトのひとつを飾る。
When Destinies Align
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:Miyako, LOVEBITES
6曲目の「When Destinies Align」は、本作のリードトラックとしてMVも制作された、劇的で壮大なスピード・メタル・アンセム。作詞をasami、作曲をMiyakoが担当した。
「運命が交わる時」というタイトルの通り、5人の絆と運命的な結集をテーマにした熱いメッセージが込められている。美しく切ないイントロのリフから爆発的な疾走へと雪崩れ込む展開、そして一度聴いたら忘れられない劇的なサビのメロディラインは圧巻の一言。
ツインギターの精緻なソロ回しと、胸を打つ展開美が結晶化した、LOVEBITESの歴史を代表する名曲である。
A Frozen Serenade
作詞:asami / 作曲:asami, Mao / 編曲:Mao, LOVEBITES
7曲目の「A Frozen Serenade」は、静謐な美しさと重厚な展開を併せ持つ、7分弱に及ぶ壮大なシンフォニック・バラード/アコースティック・メタル大曲。作詞をasami、作曲をasamiとMaoが手掛けた。
アコースティック・ギターの切ない響きとasamiの繊細かつソウルフルな歌唱で静かに幕を開け、徐々にバンドサウンドとストリングスが重なっていく。凍てつくような哀愁の世界観が見事に表現されている。
後半に向けて感情が溢れ出すような激しいギターソロへと展開し、アルバムの折り返し地点で深い感動を残す極上のトラックだ。
Dancing With The Devil
作詞:asami, midori / 作曲:midori, Mao / 編曲:Mao, LOVEBITES
8曲目の「Dancing With The Devil」は、ダークで妖艶なグルーヴが渦巻くヘヴィ・ナンバー。作詞をasamiとmidori、作曲をmidoriとMaoが手掛けた。midoriがコンポーズに関わったことで、彼女のテクニカルかつモダンなギターアプローチが色濃く反映されている。
へヴィなバッキング・リフとミステリアスな旋律が絡み合い、asamiの艶やかなボーカルが怪しい魅力を放つ。テクニカルなソロパートではミドリスペシャルとも言える攻撃的なアウトサイドなフレーズが炸裂。
王道スピード・メタルとは一線を画す、バンドのディープで技巧派な側面を強く印象づける楽曲だ。
Signs Of Deliverance
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:Miyako, LOVEBITES
9曲目の「Signs Of Deliverance」は、ネオ・クラシカルな要素が凝縮されたハイスピード・パワー・メタル。作詞をasami、作曲をMiyakoが担当した。
流れるようなクラシカルな旋律美と、harunaの高速ツーバスが怒涛の推進力を生み出す。サビでの哀愁に満ちたメロディ展開はメロディック・メタル・ファンの琴線を力強く刺激する。
Miyakoとmidoriによる超絶テクニカルなギターの掛け合いと、精密に構築されたツインリードのハモりは絶品だ。
Set The World On Fire
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:Miyako, LOVEBITES
10曲目の「Set The World On Fire」は、攻撃的でソリッドなリフが牽引するアグレッシブな疾走ナンバー。作詞をasami、作曲をMiyakoが手掛けた。
「世界を燃やし尽くせ」という力強いタイトルの通り、スラッシーで鋭角なギターリフと、疾走感を維持したままシャウト気味に畳みかけるasamiのボーカルが迫力満点だ。
ライブでの爆発力を予感させるアグレッシブさと、クールなメロディラインが同居した骨太なメタル・トラックである。
The Unbroken
作詞:miho / 作曲:miho, Mao / 編曲:Mao, LOVEBITES
11曲目の「The Unbroken」は、正統派ハードロック/オールドスクール・メタルのノリを感じさせるキャッチーで力強いナンバー。作詞をmiho、作曲をmihoとMaoが担当した。
ブルージーな要素を秘めたリフアプローチと、ミッド~ハイテンポで力強く進むリズムが心地よい。「挫けぬ者」というタイトル通り、骨太でタフなメッセージが込められており、サビでの開けた大合唱感が魅力的だ。
mihoの奏でるウォーミーかつ重厚なベースラインが楽曲のGROOVEを支え、アルバム終盤に向けた爽快なエネルギーを注入する。
Swan Song
作詞:asami / 作曲:Miyako, Mao / 編曲:Mao, LOVEBITES
アルバムのフィナーレを飾る「Swan Song」は、チャイコフスキーの『白鳥の湖』をモチーフに取り入れた、美しくも壮絶なシンフォニック・スピード・メタルの超大作だ。作詞をasami、作曲をMiyakoとMaoが手掛けた。
繊細なピアノのイントロから一転し、猛烈なスピードで駆け抜けるツインギターとオーケストレーションが交錯。劇的な旋律美と劇的な展開が次々と押し寄せ、クラシカル・メタルとしての最高到達点を提示する。
終盤の儚くも美しいピアノソロと切ない余韻は、「不滅の五角形」を打ち立てた大作アルバムの最後を締めくくるとびきりのカタルシスをもたらす。
『ELECTRIC PENTAGRAM』総評
『ELECTRIC PENTAGRAM』は、LOVEBITESが積み重ねてきたキャリアの初期総決算であり、メタルシーンにおける不動の存在感を完全に証明した最高傑作だ。全12曲・70分超という大ボリュームでありながら捨曲は一切存在せず、全曲において高度なソングライティングと世界基準の演奏技術がみなぎっている。5人の絆が黄金の輝きを放つ本作は、ヘヴィメタル史に永遠に残る名盤として語り継がれるだろう。

