55歳で再燃したメタル熱!私がLOUDNESS以来の衝撃を受けたLOVEBITES(ラブバイツ)との出会い
重厚なリフと目にもとまらぬ速さのツインギター、胸に響くドラムの連打に、突き抜けるようなハイトーンボイス。YouTubeの画面の中で、白い衣装を着た5人の女性たちが激しいメタルサウンドを奏でていた。
LOVEBITES(ラブバイツ)の「Soldier Stands Solitarily」のライヴ映像を何気なく開いたあの日、私は54歳にして、ずっと忘れていた音楽への熱量を思い出すことになった。
大げさかもしれないが、背筋がぞくっとするような感覚があった。この感覚には覚えがある。今から40年ほど前、中学生だった自分がLOUDNESS(ラウドネス)の音を初めて聴いたときの感覚と、まったく同じだった。
私がハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)というジャンルを聴き始めたのは、1980年代前半の中学生の頃だ。きっかけは、当時すでに日本のハードロックシーンの頂点に君臨し始めていたLOUDNESSとの出会いだった。友人の家で聴かされたレコードから流れてきた音は、それまでラジオなどで耳にしていた歌謡曲や一般的なポップスとは根本的に違っていた。
高崎晃の圧倒的なギターテクニックと鋭いリフ、樋口宗孝の重厚で地響きのようなドラム、山下昌良の太いベースライン、そして二井原実の力強いシャウト。日本のバンドがこれほどカッコいい音を鳴らし、海外のバンドとも対等以上に渡り合っているという事実自体が、当時の自分には大きな驚きだった。『THE LAW OF DEVIL’S LAND 〜魔界典章〜』や、全米チャートにもランクインした『THUNDER IN THE EAST』などのアルバムを擦り切れるまで繰り返し聴き、放課後は友人たちと部屋に集まってはレコードを聴きながら、エアギターの真似事をして遊んでいたものだ。
そこからは一気にジャパニーズ・メタル、いわゆる「ジャパメタ」の世界にはまっていった。熱いメロディと圧倒的なボーカル表現力が魅力のANTHEM(アンセム)、キャッチーでありながら哀愁のあるメロディで心を掴んできたEARTHSHAKER(アースシェイカー)、華やかなルックスと危険なロックンロール感でファンを魅了した44MAGNUM(44マグナム)。新譜が出ると聞けば小遣いやバイト代を握りしめてレコード店へ走り、歌詞カードを丸暗記するほど読み込み、時にはライヴハウスや市民会館で行われるライヴにも足を運んだ。
同時期に世界的なブームとなっていた洋楽の「LAメタル」も熱心に追いかけた。キャッチーで骨太なロックを聴かせてくれたMötley Crüe(モトリー・クルー)やRATT(ラット)、親しみやすいメロディラインで一気に世界的スターとなったBon Jovi(ボン・ジョヴィ)、ブルージーな泥臭さを残したCinderella(シンデレラ)、そして衝撃的な危険さと圧倒的な楽曲センスで登場したGuns N’ Roses(ガンズ・アンド・ローゼズ)。テレビの洋楽番組や『ベストヒットUSA』、MTVなどを夢中になってチェックしては、彼らのファッションや音楽性に強い憧れを抱いていた。
あの頃の自分にとって、HR/HMはただのBGMではなく、日常の真ん中にあたり前に存在する活力そのものだった。学校生活や友人関係の中で、メタルのレコードを聴く時間だけは特別であり、自分のアイデンティティの一部でもあったように思う。
しかし、1990年代に入ると、私の中であれほど燃え上がっていた熱量は少しずつ冷めていくことになった。時代の変化とともに音楽シーンの流行も移り変わり、グランジやオルタナティヴ・ロックの波が押し寄せてきたことで、かつて80年代に一世を風靡した華やかなメタルサウンドやテクニカルなギターヒーローたちは、徐々にメインストリームから姿を消していった。
そして個人的に最も大きかったのが、自分にとって最大のカリスマであったLOUDNESSの音楽性の変化だった。1990年代半ば、バンドがいわゆる「インド期」と呼ばれる時代に突入したときのことだ。メンバーチェンジや時代の趨勢を経て生み出されたそのサウンドは、それまでの疾走感や明確でドラマチックなメロディラインから離れ、ヘヴィでエスニック、民族的なアプローチやウルトラ・グルーヴを追求する方向へと大きくシフトしていった。
ミュージシャンとしての挑戦や深化であることは頭では理解できていたものの、10代の頃にスピード感溢れるツインリフや澄み切ったハイトーンボイスに心を打ち抜かれた身としては、その重苦しく実験的な音像にどうしても気持ちを重ね合わせることができなかった。「自分が夢中になって愛したHR/HMの時代は、もう終わってしまったのかもしれない」と感じ、それをきっかけに自分の足もメタルから急速に遠のいていった。
それ以降は新しいメタルバンドを探すこともなくなり、社会人として仕事や生活に追われる中で、音楽そのものと少し距離を置くようになった。車の中で聴くのは世間で流行しているポップスや落ち着いたBGMばかりになり、たまに懐かしさから80年代のCDを棚から引っぱり出して流すことはあっても、あの頃のように血が沸き立つような高揚感を覚えることは二度となかった。
こうして、HR/HMから完全に離れたまま、気づけば30年近くという長い年月が過ぎ去っていた。
2025年、私は54歳になっていた。仕事も私生活もそれなりに落ち着き、静かで穏やかな日常を送っていたある夜のことだ。リビングのパソコンで、昔聴いていた洋楽の動画などをYouTubeでなんとなく眺めていた。すると、画面の右側にある関連動画の欄に見慣れないサムネイルが上がってきた。
白を基調とした煌びやかな衣装を着た女性たちが映っており、タイトルには「LOVEBITES – Soldier Stands Solitarily」と書かれていた。
「ふーん、今、女性メタルバンドって流行ってんのか?」
正直に言えば、最初はそれくらいの軽い認識だった。80年代のリアルなメタルシーンを体感してきた世代として、「どうせルックス先行のアイドル的な企画モノだろう」という偏見がどこかにあったのも否定できない。しかし、本当にただの気まぐれで、その動画をマウスでクリックしてみた。
再生ボタンを押した直後、そのいい加減な先入観は一瞬で吹き飛ぶことになった。
曲が始まった瞬間に耳を刺す強烈なツインギターのリフと、寸分の狂いもなく打ち込まれる超高速のダブルベース。そこに合流する重厚なベースラインと、圧倒的な声量と音域を持つボーカル。スピーカーから飛び出してきた音のすべてが、純粋で一切の妥協がない正統派のヘヴィメタルだった。
ドラムのharunaとベースのfamiが作る強固でブレないリズム隊の上で、miyakoとmidoriというタイプの異なる2人の天才的なギタリストが、すさまじいスピードでテクニカルなフレーズを重ね、美しいハモりを聴かせる。フロントに立つasamiの歌声はどこまでも伸びやかで、会場全体を力強く包み込んでいた。メンバー全員の演奏技術が異常なほど高く、バンドとしてのまとまりも完璧だった。
画面を見つめながら、素直に「これはすごいバンドだ」と唸ってしまった。歌詞が描く世界観も素晴らしく、そして圧巻のステージパフォーマンス。自分が10代の頃に夢中になって聴いていたメタルの魅力的な要素が、すべて理想的な形で詰まっていた。
ドレスのような白い衣装という華やかなルックスとは裏腹に、彼らが鳴らしている音はどこまでも硬派で、一切ブレがない。NWOBHM(アイアン・メイデンなど)やジャーマン・メタル、そしてかつてのジャパメタが持っていた良さを、現代のハイクオリティな音響と技術で見事に昇華させていると感じた。
「LOUDNESSを初めて聴いたときと同じ感じだ」
中学生の頃、自分の部屋でレコードに針を落としたときに感じたあの素直な高揚感が、30年の時を超えてそのまま戻ってきたような気がした。
あの日を境に、私の生活には再びメタルが戻ってきた。気になった私はYouTubeにあるLOVEBITESの他のMVやライヴ映像を片っ端からチェックし、すぐに過去のCDやライヴ作品を買い揃えるようになった。
初期の作品から近年のアルバムまでじっくり聴き込んでみると、彼女たちの凄さは単に速くて激しい曲を演奏できることだけではないと分かった。クラシックの要素を感じさせる繊細な曲展開やツインギターの組み立て方、観客を引っ張っていくアリーナ・ロックのようなスケール感など、楽曲全体の完成度が非常に高い。イギリスの大型フェス「Wacken Open Air」をはじめ、海外の厳しいメタルファンが集まるステージでも堂々とパフォーマンスし、現地の大柄な観客たちを熱狂させているというニュースを目にしたが、それも当然だと納得できるクオリティだった。
55歳になった現在、私の生活には再びヘヴィメタルが心地よく溶け込んでいる。毎日の通勤車内ではLOVEBITESのアルバムが爆音で流れており、休日のひとときにはライヴ映像を鑑賞しながら過ごすのがすっかり習慣になった。
かつてLOUDNESSの音の変化についていけず、寂しさを抱えながらメタルから離れてしまった自分だったが、何十年という月日を経て、こうして日本の若い世代のバンドによって再び熱量を取り戻せるとは思ってもみなかった。
「自分が好きだった音楽は、時代が変わっても形を変えてしっかりと受け継がれていたんだ」と実感できたことは、純粋に嬉しい出来事だった。
10代の頃に夢中になった音楽の楽しさを、50代後半を迎えた今、もう一度新鮮な気持ちで味わえている。自分にとってLOVEBITESとの出会いは、止まっていた音楽への情熱を再び動かしてくれる、ごく自然で最高の再会のきっかけとなった。

