メタルシーンに金字塔を打ち立てた2ndアルバム
2018年12月5日にリリースされた2ndフルアルバム『CLOCKWORK IMMORTALITY』は、LOVEBITESがヘヴィメタルシーンにおいて決定的な評価を確立し、国内外で不動の地位を固めた歴史的大傑作だ。欧州大型フェス「Wacken Open Air」や「Bloodstock Open Air」への出演、さらにはメタル界の重鎮ヴァスプ(W.A.S.P.)の英国ツアーへの同行など、世界的飛躍を遂げる怒涛のスケジュールの中で生み出された本作は、バンドの勢いと音楽的熟成が極限状態で結晶化している。
タイトルの『CLOCKWORK IMMORTALITY』は「時計仕掛けの不滅」を意味し、「刻一刻と流れる時間の中で、自分たちが鳴らすヘヴィメタルという音楽を永久不滅のものとして刻み込む」という強い意志が込められている。音質面ではおなじみのフィンランド・フィンヴォックス・スタジオの重鎮コンビ、ミッコ・カルミラ(ミックス)とミカ・ユッシラ(マスタリング)が手がけ、クラシカルな美学と現代的ヘヴィネスが最高峰の分離感と迫力で構築された。
前作以上にメロディのフックと展開美が洗練された全10曲について、公式の正確な楽曲順および作詞・作曲クレジットに基づき、個人的な感想と詳細な分析を込めて1曲ずつ深掘りしていく。
Addicted
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:LOVEBITES, Miyako
アルバムのオープニングを飾る「Addicted」は、キャッチーかつ妖艶なハードロック的アプローチと、重厚なメタルサウンドが見事に融合したミッド~ハイテンポ・ナンバーだ。作詞をasami、作曲をMiyakoが担当した。
冒頭のダンサブルかつ重厚なギターリフが鳴り響いた瞬間から、前作とは異なる新たな引き出しの多さに引き込まれる。タイトルの通り「中毒」になるような中毒性の高いメロディラインが特徴的で、asamiのソウルフルで艶やかなボーカルアプローチが楽曲の官能的な世界観を力強く押し広げている。
midoriとMiyakoのツインギターが織りなすザクザクとしたバッキングと、中間部で見せるクラシカルかつテクニカルなギターソロの対比も素晴らしい。アルバムのオープニングとして、バンドの進化した表現力とスケール感を提示する完璧なトラックだ。
Pledge Of The Saviour
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:LOVEBITES, Miyako
2曲目の「Pledge Of The Saviour」は、クラシカルなメロディック・スピード・メタルの極致とも言える超絶怒涛のハイスピード・ナンバー。作詞はasami、作曲はMiyakoが手掛けた。
イントロの美しくも苛烈なツインギターの高速フレーズから、harunaの爆発的なツーバスドラムが駆け抜ける展開は圧巻の一言。サビで一気に開花するasamiの力強くも哀愁に満ちた歌声は、聴く者の心を強く打つ。「救世主の誓い」というタイトル通り、疾走するサウンドの中で気高き闘志が歌い上げられていく。
ネオ・クラシカルな美学が詰まったギターソロパートでのMiyakoとmidoriの応酬は息をのむ美しさであり、ツインギター・メタルとしての美しさを極限まで高めた名曲である。
Rising
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:LOVEBITES, Miyako
3曲目の「Rising」は、本作の先行リードトラックとしてMVも制作され、アタッチメントとしてバンドの代名詞となった感涙必至のシンフォニック・パワー・メタル・チューンだ。作詞をasami、作曲をMiyakoが担当。
静謐で美しいピアノの旋律から始まり、激しいツインギターと重厚なオーケストレーションが重なっていくオープニングは完璧なドラマ性を持っている。絶望の中から立ち上がり、光を目指して舞い上がるかのような前向きで荘厳なメロディラインは、LOVEBITESのソングライティングにおける最高到達点のひとつと言える。
asamiの感情豊かな歌唱は神聖さすら漂わせ、サビの解放感と圧倒的な感動は胸を締め付ける。間奏での美しすぎるツインギターのハモりとクラシカルな展開美を含め、ライブでも屈指のハイライトとなる金字塔的ナンバーだ。
Empty Daydream
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:LOVEBITES, Miyako
4曲目の「Empty Daydream」は、どこか切なく退廃的な雰囲気を纏ったメロディック・ミッドテンポ・ナンバー。作詞をasami、作曲をMiyakoが手掛けた。
重厚かつ繊細なギターリフと、mihoの太くグルーヴィーなベースラインが哀愁漂う世界観の土台を築いている。「白昼夢」というタイトルが示すような儚くも美しいメロディを、asamiが低音の繊細なニュアンスから高音の叫びまで表情豊かに歌い分ける。
疾走曲が続く中でアルバムに絶妙な陰影を与える楽曲であり、間奏におけるメロディアスで情緒的なギターソロのアプローチも深く心に染み渡る。
Mastermind 01
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:LOVEBITES, Miyako
5曲目の「Mastermind 01」は、近未来的なダークさとスラッシュメタル級のアグレッシブさが交錯する、スリリングなファスト・ナンバー。作詞はasami、作曲はMiyakoが担当。
無機質でソリッドなリフアプローチと、harunaの打ちつけるようなドラミングが強烈な緊張感を生み出す。タイトルが示すデジタル的・支配的な世界観を反映したメカニカルなアプローチが見事でありながら、要所で挿入されるクラシカルなメロディの対比が絶妙だ。
midoriのアグレッシブで速弾き全開のギターソロと、Miyakoの精密なフレーズが激しく火花を散らす、テクニカルでアグレッシブな一面を存分に誇示する楽曲である。
M.D.O.
作詞:miho / 作曲:Mao, miho / 編曲:LOVEBITES, Mao
6曲目の「M.D.O.」は、アルバム中最も過激で男泥臭いアグレッシブさを誇る、純度100%のスラッシュ/スピード・メタル・チューンだ。作詞をmiho、作曲をMaoとmihoが手掛けた。
「Most Dangerous Occupation」などの意味を内包する怒涛の楽曲で、ザクザクと刻まれる凶暴なギターリフとharunaの猛烈なツーバスが炸裂。ライブでは観客が「M! D! O!」と大合唱するフロア・アンセムとして親しまれている。
asamiの歌唱もシャウト混じりの野性味溢れるアプローチを見せ、mihoの重厚なベースとmidoriのシュレッドギターが暴れ回る。一切の妥協を排したヘヴィネスとスピードで聴き手を粉砕する爽快なナンバーだ。
Journey To The Otherside
作詞:miho / 作曲:Mao, miho / 編曲:LOVEBITES, Mao
7曲目の「Journey To The Otherside」は、NWOBHM(New Wave of British Heavy Metal)の精神を受け継ぐ流麗なツインギターリフと、疾走感あふれる旋律が心地よい正統派ヘヴィメタル・ナンバー。作詞をmiho、作曲をMaoとmihoが担当した。
アイアン・メイデンを思わせる軽快かつ重厚なギャロップ・リズムと、ハモりギターの美しさがメタルファンの心を刺激する。asamiのボーカルは突き抜けるような爽快感に満ちており、サビでのキャッチーなメロディラインが印象深い。
「向こう側への旅」というロマンあふれるテーマを力強く描き出し、ツインギターによる掛け合いソロも王道の美しさを極めている。
The Final Collision
作詞:miho / 作曲:Mao, miho / 編曲:LOVEBITES, Mao
8曲目の「The Final Collision」は、重厚なミッドテンポから激しい疾走へと展開する、ドラマチックで重厚なスラッシュ・パワー・メタル。作詞をmiho、作曲をMaoとmihoが手掛けた。
「最終激突」を意味するタイトル通り、ダークで重々しいリフからスタートし、曲が進むにつれてスリリングにテンポが上がっていく構成が見事だ。asamiの力強い中低音歌唱と高音シャウトのコントラストが素晴らしく、楽曲の緊張感を極限まで高めている。
mihoの極太なベースラインが楽曲の重心をしっかり支えており、後半のカタルシスあふれるギターソロ展開まで一気に聴かせる骨太な名曲だ。
We The United
作詞:asami / 作曲:Mao / 編曲:LOVEBITES, Mao
9曲目の「We The United」は、ファンとの絆やバンドの結束を讃えるかのような、圧倒的な多幸感と疾走感に包まれたジャーマン・パワー・メタル調のアッパー・チューン。作詞をasami、作曲をMaoが担当した。
ハロウィン(HELLOWEEN)やガンマ・レイ(GAMMA RAY)を彷彿とさせるキャッチーでメロディアスなスピードサウンドが炸裂。聴いているだけで元気が湧き出るような明快な旋律と、大合唱を誘うサビのメロディラインは圧巻だ。
harunaの爽快なツーバスと流麗なツインギターが疾走し、asamiが伸び伸びと歌い上げる。アルバムのクライマックスへ向けて胸が高鳴る、極上のメロディック・スピード・メタル・アンセムである。
Epilogue
作詞:asami / 作曲:asami, Mao / 編曲:LOVEBITES, Mao
アルバムのフィナーレを飾る「Epilogue」は、7分を超える演奏時間を誇る壮大なバラード/シンフォニック・パワー・メタル大曲だ。作詞をasami、作曲をasamiとMaoが手掛けた。
asami自身が作曲に関わったことで、彼女のシンガーとしてのソウルフルな表現力と美しい旋律美が完璧に融合している。静かなピアノとアコースティックな響きから始まり、徐々に壮大なバンドサウンドと美しきオーケストレーションへビルドアップしていく展開は涙を誘う。
中間部から曲調が激しさを増し、ツインギターのエモーショナルなソロバトルを経て、劇的なクライマックスへと向かう構成美は圧巻。「不滅」を掲げたアルバムを締めくくるにふさわしい、深い感動と余韻を残す名曲だ。
『CLOCKWORK IMMORTALITY』総評
『CLOCKWORK IMMORTALITY』は、LOVEBITESというバンドが持つ「正統派メタルへの敬意」「クラシカルな旋律美」「高度な演奏技術」「世界基準のプロダクション」のすべてが完璧な高次元で融合した歴史的名盤だ。Miyako、miho、asamiらのソングライティング能力は完全に開花し、全10曲のどれひとつとして隙が存在しない。このアルバムによって彼女たちは日本国内のみならず、世界のヘヴィメタルシーンにその名と音楽を永遠に刻み込むことに成功したのである。

