重厚さと疾走感が研ぎ澄まされた傑作EP
2018年6月6日にリリースされた2nd EP『BATTLE AGAINST DAMNATION』は、衝撃の1stフルアルバム『AWAKENING FROM ABYSS』を経て、バンドが世界的な評価を確立していく過渡期に放たれた重要作である。英国の「Metal Hammer Golden Gods Awards 2018」にて「Best New Band」を受賞し、ドイツの「Wacken Open Air」やイギリスの「Bloodstock Open Air」といった大型海外フェスへの出演を目前に控えていたバンドの勢いが、そのまま音に昇華された全4曲が並んでいる。
タイトルが意味する「破滅との戦い」の通り、前作以上にクラシカルかつ苛烈なスラッシュメタルのアプローチが強化された。ミキシングはミッコ・カルミラ、マスタリングはミカ・ユッシラ(フィンヴォックス・スタジオ)が引き続き担当。プログラミングやキーボードの導入、ソングライティングの精度向上により、わずか4曲でありながらフルアルバムにも匹敵する重厚なドラマ性とスケール感を放っている。
ここでは、公式リリース情報に基づいた正確なトラックリストと作詞・作曲クレジットに則り、本作『BATTLE AGAINST DAMNATION』の全4曲を徹底解説していく。
The Crusade
作詞:miho / 作曲:Miyako / 編曲:LOVEBITES, Miyako
作品の幕開けを放つ「The Crusade」は、クラシカルな美学とアグレッシブなスピード感が完璧に融合したシンフォニック・パワー・メタル・チューンだ。作詞をmiho、作曲をMiyako(※今作以降Miyako表記へと移行)が手掛けた。
タイトルの「聖戦」に相応しく、重厚なストリングスと勇壮なツインギターリフが鳴り響くオープニングから聴き手は圧倒される。harunaの叩き出すタイトでアグレッシブなツーバスの疾走感と、mihoの太いベースが骨太なボトムを形成。その上でasamiがソウルフルかつハイトーンの力強い歌唱を聴かせる。
特筆すべきは間奏におけるMiyakoとmidoriのギターバトルだ。ネオ・クラシカルなフレーズを正確無比に奏でるMiyakoと、エモーショナルかつシュレッドを繰り出すmidoriの掛け合いは流麗そのもの。キーボードによる絢爛なバッキングも相まって、海外の欧州メタルファンを熱狂させたバンドの看板ナンバーである。
Break The Wall
作詞:miho / 作曲:miho, Miyako / 編曲:LOVEBITES, Miyako
2曲目の「Break The Wall」は、スラッシュメタル特有のザクザクとした激しいリフが全編を支配する、極めてアグレッシブで硬派なヘヴィメタル・ナンバー。創設者のmihoとMiyakoの共作によって生み出された。
前作1stアルバム収録の「The Hammer Of Wrath」にも通じる凶暴なリフワークが特徴的で、テンポ感の速さと刻みのキレが群を抜いている。asamiの歌唱もブルージーな中低音から突き抜けるスクリームまで野生味にあふれており、歌詞に込められた「壁を打ち破れ」という力強いメッセージをストレートに突きつけてくる。
midoriによる技ありの高速ギターソロと、mihoの重厚なベースソロ・アプローチも聴き所であり、一切の甘さを排したスラッシュ・メタルの醍醐味が凝縮された骨太な1曲だ。
Above The Black Sea
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:LOVEBITES, Miyako
3曲目の「Above The Black Sea」は、哀愁を帯びたメロディと複雑な展開美が光る、メロディック・スピード・メタルの傑作だ。作詞をasami、作曲をMiyakoが担当した。
「黒海の上を飛ぶ」ようなドラマチックな世界観をイメージさせる、叙情的なギターリフから怒涛の高速スピードへとなだれ込む。サビにおけるasamiの歌唱は切なくも伸びやかで、耳に残る美しい旋律を紡ぎ出す。リズム隊が繰り出す目まぐるしい展開転換や、疾走しながらも要所に組み込まれたクラシカルなピアノのニュアンスが楽曲の気品を高めている。
ツインギターによる緻密なハーモニーソロは美の極致であり、Miyakoの持つ高度なクラシック音楽的背景とヘヴィメタルの激しさがハイレベルで融合した名曲だ。
Under The Red Sky
作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:LOVEBITES, Miyako
本作のラストを締めくくる「Under The Red Sky」は、5分半を超えるスケール感と劇的な旋律で構築された壮大なシンフォニック・パワー・メタル・ナンバー。作詞をasami、作曲をMiyakoが手掛けた。
デビュー作収録の「The Apocalypse」の精神的続編とも言える重厚なテーマ性を持っており、「赤い空の下」というモチーフを通して力強い人間の意志と希望が歌われる。ドラマチックなオーケストレーションをバックに、ツインギターが胸を打つ哀愁の旋律を奏で、asamiがエモーショナルに歌い上げるサビの開放感は鳥肌ものだ。
後半に向けて壮大に盛り上がっていく展開と、ツインギターの美しいハモりソロが深い感動を誘う。単なるEPの1楽曲にとどまらず、アルバムのラストとして完璧な余韻と高揚感を残して駆け抜ける作品だ。
『BATTLE AGAINST DAMNATION』総評
全4曲というサイズ感でありながら、『BATTLE AGAINST DAMNATION』が提示した完成度と密度の高さは圧巻だ。正統派ヘヴィメタル、スラッシュメタル、メロディック・スピードメタル、シンフォニックメタルの美学が研ぎ澄まされ、隙が一切ない。本作によってLOVEBITESは世界基準の演奏技術と楽曲展開を完全に証明し、欧州フェスでの大成功と2ndフルアルバム『CLOCKWORK IMMORTALITY』への飛翔へと繋がる黄金期の基礎を確固たるものとした。

