『GLORY, GLORY, TO THE WORLD』全曲レビュー

荘厳なる旋律と圧倒的熱量が交錯する名盤EP

2021年3月10日にリリースされたミニ・アルバム(EP)『GLORY, GLORY, TO THE WORLD』は、全世界をパンデミックの暗雲が覆う中で生み出された、光と救済に満ちあふれた至高の力作だ。前作3rdアルバム『ELECTRIC PENTAGRAM』のツアーが途中で中断を余儀なくされるなど、閉塞感が漂う時代背景の中で提示された本作には、「世界に栄光あれ!」というストレートかつポジティブな祈りと強い意志が込められている。

全4曲(CD盤/デジタル版共通の通常トラックに加え、アニメ『ぶらどらぶ』主題歌「Winds Of Transylvania」を含めた全5曲)というコンパクトな作品構成でありながら、そこに含まれる密度と完成度はフルアルバムにも匹敵する。音響面ではおなじみのフィンランド・フィンヴォックス・スタジオの巨匠コンビ、ミッコ・カルミラ(ミックス)とミカ・ユッシラ(マスタリング)が音響構築を手がけ、荘厳なクラシカル要素とスラッシーな重厚さが見事に融合された。

公式の曲順および作詞・作曲・編曲クレジットに基づき、バンドの凄みが凝縮された全5曲を1曲ずつ徹底解剖していく。


Glory To The World

作詞:asami / 作曲:midori, Mao / 編曲:Mao, LOVEBITES

作品のタイトルを冠したオープニング・トラック「Glory To The World」は、眩いばかりの旋律美と眩いポジティブ・パワーに満ちあふれたシンフォニック・パワー・メタル大曲だ。作詞をasami、作曲をmidoriとMaoが手がけた。

教会音楽やクラシックの調和を基和に構築されたイントロから、一気に炸裂する疾走感と重厚なオーケストレーションは圧巻の一言。midoriがコンポーズに関わったことで、従来のLOVEBITESにはない高潔で神聖なメロディラインが描かれており、サビで一気に視界が開けるような開放感をもたらす。

asamiの透き通る高音歌唱はまるで暗闇を照らす光のようであり、ツインギターの流麗なハモりとharunaの力強いドラミングが聴く者の胸を強く打つ。困難な時代に放たれたバンド史上最高の希望のアンセムである。


No Time To Hesitate

作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:Mao, Miyako, LOVEBITES

2曲目の「No Time To Hesitate」は、ダンサブルでファンキーなグルーヴと、へヴィメタル特有のスピード感がスリリングに融合したハイブリッド・ナンバー。作詞はasami、作曲はMiyakoが担当した。

躍動感のあるリズムとグルーヴィーなギターリフが牽引し、タイトルの通り「躊躇している時間はない」とばかりにアグレッシブに攻め立てる。リズム隊のタイトなノリとキャッチーなサビの構成が心地よく、バンドの新しい表現領域を提示している。

グルーヴ重視のアプローチでありながら、間奏で見せるテクニカルなギターソロやスリリングな展開美は紛れもないLOVEBITESクオリティだ。


Paranoia

作詞:asami / 作曲:asami, Mao / 編曲:Mao, LOVEBITES

3曲目の「Paranoia」は、ダークで冷徹な世界観とスラッシーな疾走感が激しく交錯するスピード・メタル・チューン。作詞をasami、作曲をasamiとMaoが手掛けた。

ボーカリストであるasami自身が作曲に参加したことで、彼女の歌唱表現と直結したスリリングなメロディとシャウト気味のアプローチが炸裂する。偏執狂(パラノイア)を思わせる鋭角でアグレッシブなリフワークと、無秩序の中に貫かれるテクニカルな展開が強烈な緊張感を生み出している。

凶暴なスラッシュ・リフと高速ツーバスの上で展開されるエッジの効いたツインギター・ソロは圧巻で、短時間で強烈なインパクトを残す劇薬的な楽曲である。


Dystopia Symphony

作詞:asami / 作曲:Miyako / 編曲:Mao, Miyako, LOVEBITES

4曲目の「Dystopia Symphony」は、切なくもドラマチックな美しさが充満した、6分超に及ぶ壮大なドラマチック・シンフォニック・パワー・メタル。作詞をasami、作曲をMiyakoが担当した。

ディストピア(絶望郷)というタイトルが示す暗雲立ち込める世界観を、美しいピアノと叙情的なツインギターの旋律で描き出す。疾走感あふれるリズムの上で、哀愁を帯びた旋律が次々と交錯し、劇的な物語を紡いでいく構成が見事だ。

間奏におけるピアノとギターのクラシカルな掛け合いから、感情を炸裂させるソロアプローチへの展開は涙を誘う。Miyakoの高度なコンポーズ能力が遺憾なく発揮された名曲である。


Winds Of Transylvania

作詞:asami / 作曲:asami, Mao / 編曲:Mao, LOVEBITES

完全限定盤Bに同梱されたシングルCD、ベスト・アルバム『IN THE BEGINNING – THE BEST OF 2017-2021』に収録。

押井守監督が総監督を務めたアニメ『ぶらどらぶ』のオープニング主題歌として制作された「Winds Of Transylvania」は、吸血鬼伝説をモチーフにした怪しくも情熱的なアッパー・チューン。作詞をasami、作曲をasamiとMaoが担当した。

ダーク&ゴシックなテイストを孕んだイントロから、アグレッシブなギターリフと爽快な疾走感へと雪崩れ込む。ヴァンパイアの妖艶さと過激さを表現した歌詞世界を、asamiがドラマチックに歌い上げる。

タイアップ曲でありながら媚びる姿勢は一切なく、LOVEBITES本来の重厚なメタル・サウンドとスピード感を貫き通した力作である。


『GLORY, GLORY, TO THE WORLD』総評

『GLORY, GLORY, TO THE WORLD』は、EPというフォーマットでありながら、LOVEBITESというバンドが持つ音楽的振れ幅と高いソングライティング能力を完璧に証明した傑作である。光を提示する神聖な表題曲から、グルーヴィーな実験作、スラッシーな疾走曲、ドラマチックな大曲、そしてゴシックなタイアップ曲まで、全曲が主役級のクオリティを誇る。混沌とした時代に眩い光を射した、ヘヴィメタル史に輝く不滅のミニ・アルバムだ。

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